2017年6月の太陽光発電は梅雨時としては驚異的な発電量と我が家のパネルは劣化が進んでいるのかを検証

太陽光発電
この記事は約13分で読めます。
スポンサーリンク

当地では梅雨入りした後も、例年に比べて降水量が極めて少ない状態が続きました。

関東地方でもっとも発電量が多くなるのは5月ですが、太陽光の強さを表す日射量は夏至を迎える6月のほうが多くなります(ただし晴れていればの話ですが)。

例年の6月は梅雨入りの時期であること、気温も徐々に高くなってくることから発電量はあまり期待できない月となっています。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

太陽光発電設備に関するデータ

はじめに我が家の太陽光発電の設備に関するデータをご紹介しておきます。

太陽電池モジュール(単結晶)…20.09kW(屋根15.17kW、ソーラーカーポート 4.92kW)

屋根勾配…1.5寸(屋根搭載・カーポート共)

パネルの方位角…真南より2.45度東向き

パネル設置場所…群馬県前橋市

買取価格…全量買取32円(税込34.56円)

夢発電システム利用…金利1%、支払回数120回(10年)

特に断りが無い場合、記事中の発電量は、我が家のパネル搭載量20.09kWによるデータとなっています。

6月の発電量

発電結果

一条工務店の太陽光発電モニター

6月の発電量は2,669.99kWh(太陽光パネル1kWあたり133kWh)になりました。

一条工務店発行の太陽光発電年間発電量予想

一条工務店のシミュレーションによれば、6月の発電量は1,778Whとなっていますので、シミュレーション比では150%となりました。150%を超えたのは発電開始以来初めてのことになります。

発電量としても今年4月の2,743kWhにこそ僅かに及ばなかったものの、先月5月の2,583kWhよりも多くなり、梅雨時の発電量としては、まさに異例だったと言わざるを得ません。

発電量が多くなった理由は

当地の昨年、今年そして平年(過去30年間の平均)の気象データの比較です。

日照時間全天日射量(MJ/㎡)降水量
2016年6月144.4485.55188.0
2017年6月198.0610.4757.5
平年値132.2446.30145.2

(出典:過去の気象データ・ダウンロード(気象庁HP)

この数値を見ただけでも、発電量が多かったことが良く分かります。

全天日射量はデータのある過去46年を遡っても、一番多かったです(最も少ないのが40年前の1977年の297MJ/㎡)。

当然のことですが、日照時間も平年値より65時間も長く、それに伴って降水量は平年の1/3程度と、近年稀にみる空梅雨でした。

全天日射量と発電量の関係

発電開始時からの全天日射量と発電量のグラフです。

例年であれば、昨年のように5月をピークとして6月以降徐々に発電量が落ちてきます。

ところが今年は全天日射量が5月より6月の方が多くなるという、珍しいケースとなりました。

6月の全国各地の全天日射量の実績と平年値(1981年~2010年までの30年間の平均)を比較したのが次の表です。

2017年6月平年値平年比
前橋610.47446.3136.7%
札幌530.71563.494.2%
仙台553.42454.6121.7%
東京521.73421.3123.1%
甲府643.41511.6125.7%
新潟560.90530.9105.6%
名古屋628.91482.0130.4%
大阪612.86490.9124.8%
広島597.37504.5118.4%
高知562.43480.6117.0%
福岡573.66487.9117.5%
鹿児島480.68448.6107.1%

(全天日射量の単位:MJ/㎡)

北海道を除く全国各地とも、平年に比べて全天日射量は多かったようです。特に関東から近畿地方の太平洋側では平年値と比較すると120~130%とかなり多かったようです。

甲府、名古屋、大阪、前橋では600MJ/㎡を超える日射量が観測されていることから、これらの地域にお住まいの方の発電量は例年になく、多くなったことかと思います。

太陽光パネルは一年でどの位劣化するのか

昨年と今年の6月の結果の比較

昨年と今年の6月の一時間あたりの傾斜面日射量と発電量の関係を表したのが下のグラフになります(発電量はパネル1kWあたりの発電量です)。

傾斜面日射量は、気象庁発表の全天日射量を元に、我が家の緯度経度、パネルの傾斜角、方位角のデータを考慮し、傾斜面直達、反射、拡散日射量をそれぞれ求めて合計した値になっています。

2016年、2017年の傾斜面日射量と発電量の関係

昨年のデータを青、今年のデータを黄色で表示しています。

相関係数(R2)はともに0.94とかなり高い相関関係が認められます。今年のデータは近似値線から明らかに外れたデータが多くなっていますが、これは気象台と我が家の位置が離れていることにより発生しているものと考えられます。

近似値線の傾きが昨年より若干緩やかになっていますが、単純にパネルの劣化による発電量の低下によるものなのか結論づけるには、気温、風速など全天日射量以外の気象条件も加味して考える必要があるため、この結果だけでは一概に結論は出なさそうです。

同じ手法でヤンさんが先日記事にされていました。

『6月の発電量と経年劣化傾向』
最近のテレビや新聞は、批判することが目的になって、内容の吟味や確認が疎かになっており、著しく信頼性が落ちたと思う今日この頃です( ̄^ ̄)印象操作が多い インタ…

発電開始からの全天日射量と発電量

こちらは2015年9月の発電開始以来発電の合った約7800時間分の発電量と全天日射量を、それぞれグラフにしたものです。

2015年9月からの発電量

発電量は、現時点では2016年に比べ2017年の方が多くなっています。

2015年9月からの全天日射量

太陽の光の強さを表す全天日射量の推移ですが、発電量と同じ推移を示しており、2017年が多くなっています。

さすけさんも最近記事にされていますが

一条工務店のソーラパネルは5年でどの程度劣化するのか?年率3%以上の劣化!?
こんばんは。さすけです\(^o^)/ 太陽光バブル?もはじけて自宅の屋根にソーラーパネルを載せる方も減ってきたように思います。 ただ、前回も書かせていただいたように、以前のようにソーラーパネルを載せると大もうけ?のような状態ではなくなりまし

さすけさんのお宅で見られるほどの劣化は我が家では確認できませんでした。我が家の場合、発電開始からの期間が短すぎるため、この方法での確認には、もう少し時間が必要なのかもしれません。

気象条件が酷似している2日を比較

気象条件が似通った特定日を探し出すことができれば、比較が可能になるかもしれません。

ただしこの方法は抽出できる日がかなり限られてくるのが難点です。おそらく一年の間でも数日あるかないかです。

今回はたまたまですが、昨年6/2と今年の6/4の全天日射量、温度、風速、風向きが非常に似通った条件であることから、比較に最適と判断しました。ピックアップした理由としては

①一日を通してほぼ快晴であり、全天日射量がほぼ同じ数値となっていること

②気温、風速など太陽光パネルの表面温度に影響を与える条件がほぼ同じだったこと

③両日とも二日前に9ミリ、10ミリの降水量を観測しており、パネル表面の汚れ具合はほぼ同じと考えられる。

などが挙げられます。①については両日ともそれぞれの一年の最高発電量を記録した日になっているので、一日を通してほぼ快晴だったと推測されます。

比較日のデータ

2016年6月2日と2017年6月4日の太陽光発電量を全天日射量、気温、風速、風向により一時間ごとに比較した表

画像だとちょっと見ずらいので、データを別にご紹介しておきます。

2016年6月2日、4時~12時のデータ

時刻4-55-66-77-88-99-1010-1111-12
全天日射量0.040.471.201.972.543.173.493.64
発電量(kWh)0.011.075.6910.6613.4915.0116.3516.80
気温13.6℃16.3℃18.1℃19.3℃19.3℃20.4℃20.9℃23.0℃
風速(m)1.04.33.64.05.16.36.56.3
風向南西北北西北北西北北西

2017年6月4日、4時~12時のデータ

時刻4-55-66-77-88-99-1010-1111-12
全天日射量0.030.321.121.922.413.133.543.67
発電量(kWh)0.021.105.109.1712.3314.6215.8716.49
気温13.8℃14.9℃17.1℃18.7℃20.6℃21.1℃21.1℃21.9℃
風速(m)2.42.02.13.55.05.04.35.7
風向西西北北西北北東

2016年6月2日、12時~19時のデータ

時刻12-1313-1414-1515-1616-1717-1818-19合計
全天日射量3.593.312.832.201.490.760.1530.85
発電量(kWh)16.5115.5113.4910.626.682.050.12144.06
気温22.1℃22.4℃21.9℃21.5℃20.9℃19.6℃18.3℃19.8℃
風速(m)6.26.85.95.07.37.04.75.3
風向北北西 

2017年6月4日、12時~19時のデータ

時刻12-1313-1414-1515-1616-1717-1818-19合計・平均
全天日射量3.593.302.842.221.490.760.1630.50
発電量(kWh)16.3915.3613.4810.616.702.070.13139.44
気温22.5℃22.6℃22.5℃21.5℃20.9℃19.7℃18.4℃19.8℃
風速(m)6.56.77.76.97.96.17.15.3
風向 

両日の12時から19時までの、項目毎の比較

この両日の中でも気象に関するデータがほぼ同じであった12時から19時までのデータを、項目ごとに比較してみます(午前中は全天日射量に、若干ですが差があります)。

全天日射量(MJ/㎡)

時刻12-1313-1414-1515-1616-1717-1818-19合計
2016/6/23.593.312.832.201.490.760.1514.33
2017/6/43.593.302.842.221.490.760.1614.36

366日違うこと、日照時間がいずれもいずれの時間帯も60分であることから、全天日射量の差は0.03MJ/㎡しか違いがありません。

気温(℃)

時刻12-1313-1414-1515-1616-1717-1818-19平均
2016/6/222.122.421.921.520.919.618.321.0
2017/6/422.522.622.521.520.919.718.421.2

1時間ごとに観測された気温と気温の変化もかなり近い数値となっています。この時間帯の平均気温の差は0.2℃しかありませんでした。

前橋気象台より我が家により近い伊勢崎の観測点の風速に関するデータがこちらです。

時刻12-1313-1414-1515-1616-1717-1818-19平均
2016/6/222.922.622.722.321.219.918.321.4
2017/6/423.423.423.022.521.820.819.222.0

両方の観測地点とも若干今年の方が気温が高かったようです。

風速(メートル)

時刻12-1313-1414-1515-1616-1717-1818-19平均
2016/6/26.26.85.95.07.37.04.76.1
2017/6/46.56.77.76.97.96.17.17.0

太陽光パネルと屋根のアスファルトルーフィングの間には隙間がります。この隙間を風が通ることでパネルの温度上昇を緩和する役割があることはご存知かと思います。

伊勢崎の観測点の風速に関するデータはこちらです。

時刻12-1313-1414-1515-1616-1717-1818-19平均
2016/6/27.08.78.07.67.46.44.17.0
2017/6/47.67.48.28.27.05.34.46.9

風速は時間帯で異なりますが、ほぼ同程度だったようです。

風向

時刻12-1313-1414-1515-1616-1717-1818-19
2016/6/2北北西
2017/6/4

風向きも比較においては重要です。我が家のパネルはほぼ南向きに設置されていますので、パネルの隙間は南北に開いています。北からのやや涼しい風が吹く際に発電量が多くなる傾向にあります。風向は両日とも北からの風が吹いていましたので、風向きによる条件はほぼ同じでした。

発電量(kWh)

そして最後に発電量です。

時刻12-1313-1414-1515-1616-1717-1818-19合計
2016/6/216.5115.5113.4910.626.682.050.1264.98
2017/6/416.3915.3613.4810.616.702.070.1364.74

両日のこの時間での発電量の差は僅かに0.24kWh、12~14時では、若干差がありましたが、14時以降は0.03kWhしか違いが見られませんでした。

両日の10時から12時までの比較

 10-1111-12合計・平均
全天日射量2016/6/23.493.647.13
2017/6/43.543.677.21
気温2016/6/221.7℃22.4℃22.1℃
2017/6/422.5℃22.5℃22.5℃
風速2016/6/28.07.37.7
2017/6/45.86.46.1
発電量(kWh)2016/6/216.3516.8033.15
2017/6/415.8716.4932.36

この時間帯を見ていくと、全天日射量は今年6/4の方が多く、発電量は昨年6/2の方が多くなっています。劣化かと考えがちなのですが、気温と風速のデータ(伊勢崎)を見てみると、昨年6/2の方が発電に有利な条件となっていたようです。

気温0.4℃と風速1.6mの違いが具体的にどれだけ発電に影響を及ぼすのか、数値化して考えることが出来ません。この時間帯の発電量とパネルの劣化を直接結び付けて考えるのは少々危険かもしれません。

発電開始から2年近く経過した我が家ですが、ご覧いただいた通り、パネルの劣化をはっきりと確認できるだけのデータは見つかりませんでした。

最後に

2017年1~6月の太陽光発電量

今年の半分を終了した時点で発電量は昨年の同時期との比較で893kWh、率にして6.5%も多くなっています。シミュレーション(11,464kWh)比では126%になっており、極めて順調に推移しています。

半年でこれだけの貯金できると、年の後半がは随分楽になります^^

また今回はパネルの劣化という観点から過去データをあれこれ弄ってみましたが、データを継続的に見ることでパネルに生じたトラブルにも早めに気が付くメリットもあります。

太陽光のモニターでも過去の履歴を見ることは可能ですが、出来ればエクセルなどで管理しておくと比較が楽になりますのでおススメです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました