再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)で、2019年度の太陽光発電の買取価格は次のようになっています。
余剰買取 | 全量買取 | 買取価格 | 固定買取期間 | |
10kW未満(家庭用) | 〇 | × | 24円又は26円 | 10年 |
10kW以上(産業用) | 〇 | 〇 | 14円+税 | 20年 |
2019年の買取価格は、2年半前の調達価格等算定員会で示された、複数年の調達価格目標に沿った設定となっています。
買取価格がここまで下がってしまった今、太陽光発電を導入するメリットがあるのか、疑問に感じられる方も多いのではないでしょうか。
こちらは一条工務店HPに掲載されていた搭載容量別メリット総額です。
単価が下がった現在でも10kWのパネルを載せれば613万円も収支がプラスになるシミュレーションって何かの間違いではないのかと私は思いました。
でもよく見るとこの収益が得られるのはなんと「60年間」でのこと。30歳で家を建てた人でも60年後は90歳ですよね…
それは閑話休題、これから太陽光発電導入を検討する場合、どのくらいの収益が見込めるのか、また将来掛かってくる費用は幾らぐらいなのか、現状の売電単価から収益を見ておきました。
分かりやすいように収入、費用ともすべてパネル1kWあたりで試算していきます。60年はあまりに長いので30年間でシミュレーションしておきます。
パネル1kWあたりの年間発電量と売電額の目安は?
一年間にどのくらい発電するのか?
一条工務店の太陽光パネル1kWあたりで、年間どのくらい発電するのかみていきます。
まずは我が家の発電量の実績から1kWあたりのどのくらいの発電量があるのかご覧ください。発電設備は次のようになっています。
- 太陽電池モジュール(単結晶)…20.09kW(屋根15.17kW、ソーラーカーポート 4.92kW)
- 屋根勾配…1.5寸(屋根・カーポート搭載共)
- パネルの方位角…真南より2.45度東向き
- パネル設置場所…群馬県前橋市
2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 夢発電シミュレーション値 | |
1月 | 1,630 | 1,895 | 1,755 | 1,874 | 1,583 | |
2月 | 2,144 | 2,240 | 1,958 | 1,848 | 1,639 | |
3月 | 2,479 | 2,407 | 2,459 | 2,457 | 2,013 | |
4月 | 2,488 | 2,743 | 2,556 | 2,593 | 2,031 | |
5月 | 2,693 | 2,583 | 2,701 | 2,999 | 2,420 | |
6月 | 2,209 | 2,670 | 2,416 | 1,778 | ||
7月 | 2,282 | 2,380 | 2,670 | 1,828 | ||
8月 | 2,285 | 1,850 | 2,455 | 1,984 | ||
9月 | 1,581 | 2,171 | 1,494 | 1,451 | ||
10月 | 2,128 | 1,786 | 1,399 | 1,749 | 1,511 | |
11月 | 1,305 | 1,472 | 1,639 | 1,595 | 1,349 | |
12月 | 1,572 | 1,749 | 1,748 | 1,462 | 1,410 | |
年合計 | 24,798 | 25,724 | 25,269 | 20,997 |
これをパネル1kWあたりの発電量に換算してみたのが次の表です。
2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | シミュレーション値 | |
1月 | 81 | 94 | 87 | 93 | 79 | |
2月 | 107 | 111 | 97 | 92 | 82 | |
3月 | 123 | 120 | 122 | 122 | 100 | |
4月 | 124 | 137 | 127 | 129 | 101 | |
5月 | 134 | 129 | 134 | 149 | 120 | |
6月 | 110 | 133 | 120 | 89 | ||
7月 | 114 | 118 | 133 | 91 | ||
8月 | 114 | 92 | 122 | 99 | ||
9月 | 79 | 108 | 74 | 72 | ||
10月 | 106 | 89 | 70 | 87 | 75 | |
11月 | 65 | 73 | 82 | 79 | 67 | |
12月 | 78 | 87 | 87 | 73 | 70 | |
年合計 | 1,234 | 1,280 | 1,257 | 1,045 |
この表から
- パネル1kWあたりの年間発電量は、毎年おおよそ1,250kWh程度
- シミュレーション値のおおよそ1.2倍ほど発電している
ということが分かります。
ただこれは「あくまで私の住んでいる場所」での発電量のデータです。
地域が変われば、当然ですがこのシミュレーション値もかなり違っています。
インスタグラムやgoogleの検索から一条工務店の夢発電シミュレーションからデータを拾ってみたのが次の表です。
パネル搭載量(①) | 年間発電量(②) | パネル1kWあたり(②÷①) |
13.23kW | 14,039kWh | 1,061 |
8.61kW | 8,843kWh | 1,027 |
10.08kW | 10,687kWh | 1,060 |
9.90kW | 9,564kWh | 966 |
9.87kW | 10,324kWh | 1,046 |
12.60kW | 13,167kWh | 1,045 |
11.34kW | 11,849kWh | 1,045 |
11.76kW | 12,249kWh | 1,042 |
13.00kW | 13,670kWh | 1,052 |
19.20kW | 16,171kWh | 842(北海道) |
北海道のような雪の影響が大きい地域では、シミュレーション値もかなり低く設定されています。
一条工務店のHPに掲載されている例がこちら。
(出典:一条工務店公式HP)
埼玉県の例で1,041kWh、岐阜県で1,108、1,051kWh、大阪府で1,010kWhとおおむね先ほど見たパネル1kWあたりの年間発電量に近い数字でした。
一条工務店のシミュレーションはかなり保守的な値となっているので、検討の際にはこれを年間の発電量として考えておけば、損益を考える上で大きな狂い(下振れ)が生じることはないかなと思います。
買取価格をいくらで考えるの?
年間発電量に買取価格を掛ければ年間の売電による収入がいくらになるのか確定します。
この買取価格が毎年低下の一途を辿っているのはご存知の通りです。
FITでは10年、または20年間の買取価格は固定されているので、問題になるのは固定価格買取期間終了後の売電価格をいくらに想定するかになります。
2016年の「調達価格等算定委員会」で、すでに太陽光発電の価格目標の方向性は示されています。それによれば
- 産業用太陽光発電…2030年に発電コスト7円/kWh
- 住宅用太陽光発電…2020年以降は早期に売電価格を電力市場価格並み
(出典:平成29年度以降の調達価格に関する意見(経済産業省)より引用)
とあります。
固定価格買取期間終了後の買取価格は、1kWhあたり7円程度と考えておく必要がありそうです。
今回は産業用、住宅用ともに、この7円をもとにシミュレーションします。
また発電設備の劣化は、発電効率が年1%ずつ低下するとして総発電量を算出しています(夢発電のシミュレーションと同じ計算方法)。
- 我が家の発電量実績(初年度1,250kWh/kW)
- シミュレーション値(初年度1,045kWh/kW)
- 北海道(初年度842kWh/kW)
の3パターンで30年間の売電額がどのくらいになるのか、見ていきましょう。
産業用14円+税の場合(消費税は10%で計算)、パネル1kWあたりの30年間の売電額
- 実際発電量による売電額(初年度1,250kWh)⇒総発電量32,537kWh、売電額425,803円
- シミュレーション値による売電額(初年度1,045kWh)⇒総発電量27,201kWh、売電額355,971円
- シミュレーション値による売電額(初年度842kWh)⇒総発電量21,917kWh、売電額286,821円
住宅用24円(出力制なし)の場合、パネル1kWあたりの30年間の売電額
- 実際発電量による売電額(初年度1,250kWh)⇒総発電量32,537kWh、売電額430,950円
- シミュレーション値による売電額(初年度1,045kWh)⇒総発電量27,201kWh、売電額360,274円
- シミュレーション値による売電額(初年度842kWh)⇒総発電量21,917kWh、売電額290,288円
住宅用、産業用とも30年間の売電額はどちらを選択してもほぼ同じ結果となりました。
一見20年間固定価格である産業用の方が売電金額が高くなりそうなのですが、発電効率の低下が進んでいない当初10年間に売電価格が10円高いことが影響しています。
太陽光発電に掛かるランニングコストには何があるの?
太陽光発電の損益をシミュレーションするには、太陽光発電システムのイニシャルコスト以外にも、様々なランニングコストが掛かってきます。
太陽光の損益は
売電額(発電量×売電単価)-イニシャルコスト(太陽光発電システム一式)-ランニングコスト
で計算できますが、このランニングコストの金額を見積もるとなると以外に結構手間がかかります。
主なランニングコストを挙げると
1.全量・余剰売電ともに
- 所得税(20万円以上の雑所得がある場合)
- 固定資産税の増加
- パワーコンディショナの交換費用(およそ10年目)
- 太陽光システム導入のための借入金にかかる利息
2.全量売電のみ
- パワーコンディショナの電気代
3.余剰売電のみ
- 契約電力の基本料金の増加分
- 自家消費分で削減される電気代
などになります。
長くなりますが個別にみていきます。
所得税
電力を売却した場合、売電収入からその収入を得るために支出した金額を必要経費として控除した残額が雑所得となり所得税の課税対象となります。
雑所得=収入-必要経費
サラリーマンで年末調整をしている場合、他に所得がなければ、売電による雑所得が20万円を超えていなければ、確定申告は不要になります。
必要経費には減価償却費だけを計上しています。雑所得の計算する場合には、他にも支払利息(パネル購入代金の借入金)、パワコン電気代なども計上できます。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
パネル搭載量10、15、20kWで全量売電を行ったケースで計算をしました。
条件は
- 発電量はシミュレーション値の約1.2倍、パネル1kWあたり年間1,250kWh
- 太陽光発電システムの価格は一条工務店HPに掲載されている数値を使用
- 減価償却費は耐用年数を17年として計算
としています。
売電金額(年) | 減価償却費(年) | |
10kW | 192,500円 | 136,588円 |
15kW | 288,750円 | 196,941円 |
20kW | 385,000円 | 258,564円 |
収入(売電金額)から必要経費(減価償却費のみ)を差し引いただけでも、いずれのケースでも所得が20万円を超えることはありませんでした。現在の買取価格では所得税を考慮する必要はなさそうです。
スレートボードより固定資産税は高くなりますが…
太陽光パネルは、通常の屋根材と比べて、固定資産税が高くなります。
ただし
- 耐久性は、スレート屋根と比べると格段に高い
- 塗りなおしなどメンテナンスに掛かる費用が発生しない
- 固定資産税算出過程において屋根形状による補正係数の違い
など有利な点も多く、一概に比較するのは難しいと感じます。
それぞれの固定資産税を試算すると
- 太陽光パネル1枚あたり…28,110円/㎡(標準評点数)×1.34㎡/1枚×0.9(屋根勾配1.5寸の場合の補正係数)×0.8(屋根形状、片流れ屋根の補正係数)×1.05(設計監理費等による補正率)×1.0(物価水準による補正率)×1.6%(税率、都市計画税を除く)≒455円
- スレートボードの場合(パネル1枚相当の面積)…13,210円/㎡(標準評点数)×1.34㎡/1枚×1.0(切妻屋根、5寸の場合の補正係数)×1.0(屋根形状、切妻屋根の補正係数)×1.05(設計監理費等による補正率)×1.0(物価水準による補正率)×1.6%(税率、都市計画税を除く)≒297円
となります。
30年間の税額(経年減点補正率を考慮)は、パネル1枚相当の面積あたりで、
- 太陽光パネル…6,137円
- スレートボード…4,006円
となり、その差は2,131円(都市計画税は含まず、また長期優良住宅による軽減はないものとして試算)となりました。
パネル1枚の価格でみると、さほど気にするレベルではない気もします。
1kWあたりに換算すると、太陽光パネルを搭載することで増加する固定資産税の差は30年間で約1万円です。
スレート屋根の塗り替え費用が一回で数十万円かかると見積もれば、むしろ屋根一体型の太陽光パネルを搭載したほうが安上がりになりそうです。
つまり固定資産税はランニングコストとして考慮する必要はないと思います。
固定資産税の詳しい算出法は、こちらの記事をご覧いただけると分かりやすいかと思います。
パワーコンディショナの交換費用
もっとも重要なのが、このパワーコンディショナの交換に掛かる費用です。
パワーコンディショナは故障や経年劣化による出力低下のため、おおよそ10年で交換が必要になると言われています。
価格は設置台数により異なります。
一条工務店で使われている田淵電機製のパワコンは、市販価格で5.5kWが21万円、9.9kwが31万円となっています。
価格からパネル1kWあたりに換算すると、約3万~4万円ほど(工事費用別)。30年間で2回の交換を行った場合、パネル1kWあたりにかかる費用は、実に約6~8万円にものぼります。
パワーコンディショナの電気代(全量買取のケースのみ)
パワーコンディショナは夜間も僅かですが電気を消費しています。
全量買取の場合、昼間は発電した電気で作動していますが、発電していない夜間は、電気を購入する必要があります。
定額電灯契約が必要になり、現在、1カ月196円49銭です(東京電力、定額電灯、小型機器料金、50VAまでの料金)。パワコンが複数台になれば、196.49円×2台、×3台…と月の電気代は高くなります。
30年間の電気代はパネル1kWあたり7千円~1万3千円程度と見積もっておけばよさそうです。
契約電力の基本料金の増加(余剰売電のみ)によるデメリット
簡単に言ってしまえば、太陽光発電システムで発電した電気と購入する電気のルートが、余剰の場合は同一ルートで、全量の場合は別ルートで流れています。
余剰売電の場合、発電した電気はダイレクトに系統には流れず、購入する電気と共通の分電盤を経由し電線に流れています(上図参考)。
電気容量を算出するにあたっては、購入する電気容量または太陽光発電で作る電気容量のいずれか大きい方をもとに算出されます。パネル搭載量が少ない場合を除くと、多くのケースでは太陽光発電システムの電気容量が多くなるはずです。
太陽光発電で発電された電気は、通常1kWあたり10A程度(発電量が多いときは11Aくらい)で流れています。5kWの搭載量であれば60A、10kWのシステムであれば110A(電気料金プランで11kVAなどと記載されます)のアンペア契約をする必要があります。
このアンペア数が足りないと、発電の最中にブレーカーが落ちる原因にもなりかねません。
つまり基本料金がブレーカー契約となっている場合、アンペア数により、売電を行っていない場合よりも基本料金が増えることになります。
さらにパネル搭載量が増えるほど、アンペア契約が大きくなり基本料金も高くなってしまうことで、余剰発電のコストを押し上げる原因にもなります。
例えば、東京電力のオール電化プラン、スマートライフLで太陽光発電無しで6kVA契約で済むご家庭が、10kWのパネルを搭載したことで、契約電力は11kVAと5kVA増加し、基本料金は毎月1,404円増加するのです。
太陽光無しで6kVA契約で済むケースで、10kWの太陽光パネルを搭載すれば、契約電力は11kVAと5kVA増加してしまいます。この基本料金の差を例えば、東京電力のオール電化プラン、スマートライフLで計算すると毎月1,404円となります。これはパネル1kWあたり30年間で5万円ほどになる計算です。
ただし基本料金が電力各社によってかなり違うので、一律に算出するのは困難です。
余剰売電による電力購入減少のメリット
余剰売電の場合、基本料金が高くなるデメリットだけではなく、メリットもあります。本来電力会社から購入する電力を太陽光発電の自家消費で賄うこともできる点です。
こちらは2019年6月現在の大手電力会社10社のオール電化向けプランですが、電気料金が最も高くなる夏季昼間の単価を一覧にしてみました。
昼間(夏季) | ||
北海道電力 | eタイム3プラス | 39.94円 |
東北電力 | よりそう+シーズン&タイム | 42.36円 |
東京電力 | スマートライフ | 25.33円 |
北陸電力 | くつろぎナイト12 | 34.31円 |
中部電力 | スマートライフプラン | 38.00円 |
関西電力 | はぴeタイムR | 28.44円 |
中国電力 | 電化Styleコース | 32.08円 |
四国電力 | でんかeプラン | 28.71円 |
九州電力 | 電化でナイト・セレクト | 26.35円 |
沖縄電力 | Eeホームホリデー | 38.65円 |
発電した電力は24円(または26円)で電力会社に販売している場合でも、自家消費する場合は、上記単価で電気を販売したのと同じ効果が得られます。
もっとも電力を消費するエコキュートを夜間ではなく、発電している昼間に沸き上げするのもよりメリットを享受できる方法の一つです。
基本料金の上昇と購入電力減少の損得
我が家の場合だとどうなるのか、気になったのでシミュレーションを行ってみました。
使用したのは昨年一年間、2018年1月~12月の発電量、1時間ごとの発電量と電気使用量のデータです。
我が家は全量売電ですが、これを余剰売電した場合の電気代がいくら得になるかを調べました。
条件とデータは
- 2018年1月~12月の総発電量…25,268.8kWh
- 2018年1月~12月の電力消費量…10,562.9kWh
- 全量売電から余剰売電に条件変更したことによる自家消費分…3,504.6kWh
- 売電単価…(単価14円+消費税8%)
- 購入電力…東京電力スマートライフL
での試算です。売電と買電は現行の単価で計算しています。
全量売電 | 売電額 | 382,064円 |
電気料金 | 243,770円 | |
余剰売電 | 売電額 | 329,073円 |
電気料金 | 155,476円 | |
全量余剰の差 | 売電額 | -52,990円 |
電気料金 | -88,294円 |
売電額は52,990円減りましたが、逆に電気料金は88,294円安くなりました。全量を余剰に変えたことで35,304円ですがメリットが多くなりました。
一方基本料金は契約電力が10kVAから、20kVAになると仮定した場合で33,696円の上昇となりました。
電気代の減少のメリットと契約電力の増加のデメリットがほぼ相殺される結果となりました。
30年間の太陽光発電の損益は
長々とみてきましたが、最後に30年間、パネル1kWでの損益をまとめておきましょう。余剰売電の場合、損益の算出が極めて難しいので、ここでは全量売電のみとします。
太陽光発電導入する場合のパネル価格との関係
発電量は、もっとも保守的な数値と思われる一条工務店のシミュレーション値を使います。
収入
- 産業用14円+税 売電収入…約35万円(初年度の発電量、1,045kWh)
ランニングコスト
- 通常の屋根材と比較した固定資産税の差額…約1万円
- パワーコンディショナの交換にかかる費用…約6~8万円
- パワーコンディショナの電気代…約7千円~1万3千円
収入からランニングコストを除いた金額が、約24万~27万円。ということは太陽光発電システムが1kW当たりこの値段以下で導入できる場合、30年間の収益はかろうじてプラスになりそうです。
現在のパネル価格は知りませんが、一条工務店HPのシミュレーションには
太陽光発電システムの価格:19万円/kW+消費税8%、専用分電盤及び売電量計他10kW以上20kW未満25万円+消費税8%、20kW27万円+消費税8%
とあります。つまり太陽光発電システムの導入一式に掛かる費用は
- 10kW搭載の場合…(19万円×10+25万円)×1.08=232万円となり、パネル1kWあたりの導入費用は約23.2万円
- 20kW搭載の場合…(19万円×20+27万円)×1.08=439万円、パネル1kWあたりの導入費用は約22万円
となることから、産業用の場合でも、収益はプラスになっているのではないかと思います。
私の場合(売電単価32円+税)の際の導入費用が658万円(20.09kW)でした。買取単価の低下に伴い、太陽光発電システムの価格はここ4年ほどで1kW当たりに換算すると10万円ほど安くなっています。
今後も一条工務店が太陽光発電を推進していくのであれば、買取単価の低下とともにシステム導入に掛かる費用も下げざるを得ないのではないかと思います。
こんなにメリットが出る?一条工務店のシミュレーション…
最後に冒頭でもみた一条工務店のHPで示されている謎(?)の60年間のシミュレーションです。簡単に妥当性を検証してみます。
(出典:一条工務店公式HP)
初年度1,045kWhの発電量として60年間、年1%の効率低下で計算すると、総発電量は47,322kwhになります。60年間のシミュレーションの是非は別として、面倒ですが念のため検証だけしておきましょう。
前提として自家消費率を25%、電気料金単価を30円として10kW搭載した場合で試算すると
- 60年間の売電額…851万(うち売電分468万円、自家消費による電気料金削減383万円)
- 太陽光システム導入費用…290万円
- ランニングコスト…103万円
- メリット…458万円
613万円のメリットを享受するためには、電気代の単価を43円とする必要があります。あくまで一個人の試算として見てくださいね。
最後に
2018年9月の「北海道胆振東部地震」では地震直後から大規模な停電が発生したのは記憶に新しいところです。停電が長く続いた場合でも太陽光発電があれば、太陽が出ていれば自立運転によって電気を確保することが可能です。
太陽光発電はとかく収益面だけに目が行きがちですが、先ほどの耐久性の面、非常用の電源確保など、お金に換算できないメリットもあります。
このようなこともあわせて、太陽光発電の導入を考えてみるのもいいかもしれません。
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