ふるさと納税は「納税=税金を納めること」と誤解されがちですが、実際は自治体への「寄付」にあたります。ただし寄付を行うと、その金額の一部が所得税および住民税から控除されます。
ふるさと納税の場合、自己負担額2,000円を除いた全額が所得税や住民税から還付・控除されます。
ふるさと納税はここ数年で、寄付の件数、金額とも大幅に伸びています。その一番の理由は「寄付先の自治体からの多彩な返礼品」と「ポータルサイトで返礼品の比較が簡単にできるようになったこと」ではないでしょうか。
一般的な返礼品は、地場の特産物などが中心ですが、報道でも話題となった
2,000円の自己負担額が発生するものの、5万円の寄付で2万円のギフト券をもらえるわけです。つまりふるさと納税を利用しないで、所得税と住民税を払ったケースと比べて48,000円が得になるわけです。
ただし一条オーナーの場合
- 太陽光発電を行い売電収入がある
- 住宅ローンを借りており、住宅ローン減税を受けている
ケースが非常に多いのではないでしょうか。
このような場合、寄付金額を算出するのが非常に面倒で、寄付に二の足を踏んでいる方もいらっしゃるかと思います。寄付上限金額を簡単に計算する方法がありますのでご紹介します。
今年はふるさと納税を検討されては如何でしょうか。
売電収入、住宅ローン控除がある場合の所得とは?
サラリーマンの給与所得には所得税という税金がかかります。この所得税は、次のような流れで計算されています。
年末に受け取る源泉徴収票と対比すると、なんとなくイメージが湧いてくるかもしれません。
これに対して給与所得のみのサラリーマンで、太陽光発電を行っている、かつ住宅ローン減税の適用を受けている場合の所得税の算出の流れは次のように変わります。
給与所得、太陽光売電の雑所得をそれぞれ計算、その後課税所得から税額を計算し、この税額から住宅借入金等特別控除を控除した金額が所得税となります。
太陽光発電の雑所得については、こちらの記事を参考にしてください。
ふるさと納税は控除上限額までの寄付の場合、寄付額から2,000円を引いた金額が所得税や住民税から還付や控除されます。しかし売電収入があったり、住宅ローン減税を受けている場合、その金額によっても控除される上限額は一人ひとり異なってきます。
詳しい方であれば、この計算過程からふるさと納税の控除上限額を計算することも可能です。ただその手間と計算間違えを考えると、少々リスクもあることは確かです。
この計算を自動で行ってくれるサイトを、今回ご紹介したいと思います。
ふるさと納税の控除上限額を知るためのシミュレーション手順
シミュレーションには「みんなの税ツール @かいけいセブン」にある確認ツールを使用しました。
このツールは、太陽光売電プラス住宅ローン控除がある場合でも詳細なシミュレーションが可能です。
ご覧いただいている皆様に誤解を招く説明となってしまったことをお詫び申し上げます。ご指摘いただいたTN kaikei7様ありがとうございました。
シミュレーションの条件
具体例として国税庁の「平成30年分年末調整の仕方」内のP62にある設例1の鈴木さんのケースに条件を加え、ふるさと納税の上限額の計算の方法を行っていきます。
- 年間給与総額…5,870,000円
- 同上の給与に対する徴収税額…140,523円
- 控除した社会保険料等(給与控除分)…836,874円
- 支払った一般の生命保険料のうち旧生命保険料分…50,200円
- 支払った個人年金保険料のうち新個人年金保険料分…56,000円
- 支払った損害保険料のうち地震保険料分…45,000円
- 一般の控除対象配偶者(所得金額なし)…あり
- 一般の控除対象扶養親族 …1人
- 太陽光発電の売電額…600,000円
- 太陽光発電の必要経費…200,000円(減価償却費、パワコンの電気代、支払利子など)
- 年末の住宅ローン残高…30,000,000円
9~11の条件を付け加えました。
鈴木さん家族はご主人の鈴木さんと専業主婦の妻、そして子ども1人(16歳~18歳の高校生)の3人家族、のようです。
具体的な手順
給与以外の収入の「副業/臨時収入」でひらくを選択します。
その下「該当する収入/所得」で「⑤雑所得」を選択した上で、「総収入金額」には売電金額を、「必要経費」には売電に掛かった必要経費額を入力します。
先ほどの限度額65,000円を「所得控除」欄に入力してみました。65,000円のうちふるさと納税によって控除される税額は56,500円となり、自己負担額は8,500円(2,000円+6,500円)になっていることが分かります。
この鈴木さんのケースの場合、住宅ローン控除が上限まで達しており、引ききれない部分が発生するためです。この自己負担額8,500円より金額が大きくなる返礼品を選べば、家計への負担は減少することになります。仮に65,000円のうち50,000円を先ほどの小山町へふるさと納税した場合、返礼品は20,000円のギフト券となりますので、これだけで差引11,500円の軽減となるわけですね。
以上がシミュレーションの手順です。非常に簡単に上限額を知ることができますし、さらに作成したデータも保存する機能もあります。
最後に
賛否両論ありますが、私も平成30年12月に、冒頭でも触れた
イメージとしては翌年の6月以降の住民税のうち25,000円を自己負担が2,000円で納税したのと同じことですが、返礼品として1万円のギフト券が貰えますので、普通に住民税を納める場合と比べて8,000円得することになります。(追記:小山町ふるさと納税の受付は、令和元年5月31日をもって終了しています)
源泉徴収票が手元に届くのは、多くの方が12月の給料(または賞与)の支給後となるかと思います。
一方ふるさと納税は12月31日までの分が当年度の所得税の還付、翌年度の住民税の控除の対象となりますので、源泉徴収票をもらった後からふるさと納税を検討する場合、結構タイトなスケジュールとなります。
給与収入のみの場合、ふるさと納税の限度額を一覧にした表はあります。しかしこれに太陽光の売電収入や住宅ローン減税が絡んでくるとその計算は複雑になり、限度額一覧表などのようなものでは対応することが困難です。
そんな方には、ぜひ今回ご紹介したシミュレーターを利用し、ふるさと納税を検討してみるのもいいかもしれませんね。
コメント