当地を含め、関東地方まるで梅雨時のように毎日雨や曇りの日が続き、さらに一年で最も気温の高い時期に重なったため、「極端に蒸し暑く」感じる日の連続でした。
8月の月間平均湿度(相対湿度)はなんと79%!(平均気温は25.9℃)と近年希にみる高さでした。
先日ラジオを聴いていると、「8月は雨が多かったのでエアコンをつける機会も少なく、お陰で電気代が安く済んだ」とキャスターの方がお話していましたが、我が家の8月の電気代は、夏場としては過去最高を更新しています。
「なぜ?」かは「エアコンの使い方」と「8月の湿度」がその原因になっています。
契約基本情報
まず我が家の電気料金の契約内容をご紹介しておきます。
契約種別 電化上手、10kVA(基本料金2,160円)
料金単価(単位:1kWhあたり)
・昼間(10時~17時)38.72円(夏季:7/1~9/30)、31.73円(夏季以外)
・朝晩(7時~10時、17時~23時)26.01円
・夜間(23時~7時)12.25円
居住場所 群馬県前橋市
家族構成 二世帯6人(親世帯2名、子世帯4名)
施工面積 47坪
我が家で契約している「電化上手」は現在新規募集をしていません。現在の東京電力のオール電化向け電気プラン「スマートライフプラン」との違いについては、詳しく解説したこちらの記事をご覧ください。
関連記事 東京電力のオール電化向け「スマートライフプラン」の落とし穴と電化上手との比較
なお我が家は共有二世帯住宅で施工面積も47坪と広めになっておりますので、電気代も通常のお宅と比べて高くなります。その点考慮してご覧ください。
8月分の電気料金
今回の電気料金の請求期間は8/7-9/6までの31日間です。9月分の請求となっていますが、使用期間から分かるように、ほぼ8月に使用した電気代となっています。
電気料金内訳
電気代は21,784円と前月比で186円高くなりましたが、8月分とほぼ同程度でした。
前年同月比でも1,737円の増加になりました。夏場の電気代としては過去最高を更新しています。
電気使用量
請求月単位の電気使用量も比較しておきます。1時間単位の平均電気使用量にしたのが次の表で、使用量の単位はkWhです。朝昼晩区分は電化上手の時間帯に準じています。
日照不足で気温もそれほど高くなかったため、日中の電気使用量は前月より少なかったようですが、その他の時間帯は逆に増加していました。
2015年9月からの平均気温と電気使用量の推移をグラフにしたものです。9月上旬に気温・湿度共低くなったのを受け、エアコンの運転を停止したため、グラフ右の電気使用量が急激に減少しました。
一年で一番蒸し暑い8月のエアコン運転
2016年11月20日の前橋の天気の様子です。朝9時の天気は霧、この時点の気温は8.1℃、湿度(相対湿度)は99%でした。しかし晩秋のこの時期、湿度が高くても蒸し暑さを感じることはありません。
逆に、夏場の8月に99%の湿度があったらどうでしょうか?
蒸し暑くてどうしようもありませんよね。なぜ同じ湿度にも関わらず感じ方が違うのでしょうか。
相対湿度と絶対湿度
先ほどの99%でも蒸し暑く感じる時と、そう感じない時の差は「空気中に含まれる水蒸気量」の違いの差なのです。
この「空気中に含まれる水蒸気量」がどのくらいの重さなのかを表しているのが「絶対湿度」になります。
これに対して普段の生活の中で使われているのは「相対湿度」になります。両者の違いは
となります。
先ほどの気温8.1℃、相対湿度99%は、絶対湿度では8.3g/㎥となり、気温30℃で同じ絶対湿度8.3g/㎥の時の相対湿度は27.3%となります。
気温が30℃になったとしても、湿度(相対湿度)が27.3%であればかなり「カラッとした暑さ」となり、「蒸し暑さ」を感じる人はごく少数ではないでしょうか。
人間が「蒸し暑い」や「乾燥している」と感じるのは相対湿度よりむしろ絶対湿度に依存していることが分かります。
蒸し暑い夏を快適に過ごすためには、絶対湿度を管理することが肝になります。
ロスガードによる湿度交換
こちらは8月某日(撮影日は忘れました(^^;)の我が家の温湿度計の様子です。
上に表示されているのが室内の温度と湿度、下が庭にあるカーポートに設置した子機の計測した温度と湿度になります。
絶対湿度を計算するとそれぞれ12.1g/㎥、21.4g/㎥になります。室内と室外の空気1㎥あたりの水蒸気量には、実に9.3gもの違いがあるのです。
ロスガードは除湿効果はありませんが、80%の湿度交換を行っています。この湿度交換も相対湿度ではなく絶対湿度で考えます。
(出典:空気性能 24時間換気|一条工務店)
先ほどの温室時計の条件下では、SAからは絶対湿度14.0g/㎥の空気が供給されることになります。
室温が一定に維持されるには、空気1㎥あたり1.9gの水分を除湿していかなければ、室内の絶対湿度、相対湿度は徐々に上昇していくことになります(現実的には人体や調理などで発生する水蒸気も加わりますから、さらに多くの除湿が必要になります)。
夏場の絶対湿度の推移
前橋の6月~8月の絶対湿度の推移を見てみます。
(出典:過去の気象データ・ダウンロード(気象庁HP)より作成)
各月の絶対湿度の平均は6月が11.9g/㎥、7月が18.6g/㎥、8月は18.8g/㎥でした。
先ほどの温室時計で計測した室内の絶対湿度12.1g/㎥と比較すると、この時期の屋外と再熱除湿を行っている屋内の差がいかにあるかが、よく分かりますよね。
快適に過ごすためには、屋内の絶対湿度を12g/㎥程度まで抑えておく必要があります。
ロスガードの湿度交換だけでは自ずから限界があります。いかに除湿を行わなければ快適な空間が維持できないか、この絶対湿度の数値を見るとよく分かりますね。
ロスガード90とRAYエアコンのコンビによる除湿量の計算
7月20日に始まり8月28日までは連続してRAYエアコンの再熱除湿機能運転を行っていました。電気代が高くなったのはこれが原因です。
RAYエアコンが8月一か月でどの位の除湿を行ってくれたのか、試算をしてみました。
一条工務店HPにある説明
(出典:空気性能 24時間換気|一条工務店)
これは一条工務店のHPに掲載されている一日に必要な除湿量の比較を説明した図です。
我が家の床面積は44.43坪ですから、この例に建坪に近いかと思います。
[box class=”box3″ ]
ロスガード90の湿度回収:夏は80%を回収
換気回数:0.5回/h
我が家の気積:317.84㎥
外気の絶対湿度:8月の平均18.8g/㎥(前出の数値を流用)
室内の絶対湿度:絶対湿度14.63g/㎥(26℃、相対湿度60%)
[/box]
この条件で計算してみます。
湿度交換なしの場合:317.84㎥×0.5回/h×24h×(18.8g/㎥-14.63g/㎥)≒15.9ℓ
ロスガード90の場合:317.84㎥×0.5回/H×24H×(18.8g/㎥×0.2+14.63g/㎥×0.8-14.63g/㎥)≒3.2ℓ
概ね一条工務店の説明に近い数値となっているようです。
我が家の一か月の除湿量
同じように計算してみました。条件は
[box class=”box3″ ]
外気の絶対湿度:8月の平均18.8g/㎥(前出の数値を流用)
室内の絶対湿度:絶対湿度14.18g/㎥(27℃、相対湿度55%)
[/box]
で試算すると
317.84㎥×0.5回/H×24H×(18.8g/㎥×0.2+14.18g/㎥×0.8-14.18g/㎥)≒3.5ℓ
一日当たり3.5ℓ、一か月にするとおよそ109ℓ近い除湿が行われていたようです。
ただし家の隙間、トイレ、キッチン、バスからの局所換気、さらに人体、調理、洗濯物、風呂など室内で発生する水蒸気を考慮していませんので、実際にはもっと多くの量の除湿が行われていたと考えられます。
再熱除湿運転による電気代の上昇
再熱除湿運転前後の電気代については、ちょうど一年前に調べたことがあります。
[kanren id=”7049″]
一日の電気代にしておよそ120円ほどの増加でした。
さらにさらにロスガード90の消費電力は90Wh。一か月で64.8kWhの電気使用量となり、金額にして一日当たり54円ほど(電化上手の場合)です。
これだけのスペースを除湿しても一日当たりの電気代が174円ほどで済みます。一か月にして約5,000円です。
これに対して除湿機の除湿できる広さ、電気代を調べればわかりますが、およそ9帖用のコンプレッサー除湿機でも一時間の電気代が4.3円、ゼオライト式では16円程度の電気代になります。
除湿機をわざわざ用意して除湿するよりも、RAYエアコン+ロスガード90のコンビを選択した方がはるかに効率が良いようです。
最後に
絶対湿度の計算は慣れないと面倒かもしれません。
空気線図計算表を使うと、現在の空気の状態を空気線図のグラフ上で確認することが出来ますので、興味ある方はご覧になってみてはいかがでしょうか。
参考(エクセル) 空気線図計算表
赤く塗られたゾーンは温度17℃~28℃、相対湿度40%~70%の快適ゾーンの範囲になります。現在の気温や湿度を入力することで、快適ゾーンに位置するのか視覚的に分かるので便利ですよ。
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