御存知の通り、大和ハウス工業は大手ハウスメーカーの一つです。
しかし売上に占める戸建住宅の割合は、29年3月期で12%。賃貸住宅、事業施設、商業施設、マンションを主に手がけ、事業ドメインの割合をみるとハウスメーカーというよりもディベロッパーへ大きく脱却している会社です。
また2011年から4年間連続で「世界で最も持続可能な100社」に選ばれるなど、情報公開や財務の健全性などでも高い評価を受けている会社です。
ハウスメーカーを選ぶ基準として「安心して住宅建設を任せられる会社なのか」という点を私は重視していました。選択肢の一つとしてダイワハウスを選んだのはこんな理由からです。
ダイワハウスと打ち合わせを行っていた3年前の2014年当時の見積りをもとに、ダイワハウスのxevoEを建てるのにいくら必要になるのかを見ていきます。
XEVOってどういう意味なの?
XEVO(ジーヴォ)は、Xが「耐力壁の“すじかい” X の形をイメージし、耐久性に優れた構造体を象徴)、EVOは「進化や発展の Evolution の略」を意味するダイワハウスの戸建住宅商品のブランド名です。
このxevoシリーズは、2006年の誕生以来xevoE、xevoV、最新のxevoΣなど様々な種類が存在します。
その中から今回見ていただくのはxevoEの見積もりになります。xevoEはΣが発表される2014年までxevoの主力商品という位置づけでした。
こだわりを持ち、アクティブで感度の高いお客さまに向けて、高耐久、ワンランク上の省エネという高い基本性能に加え、家族の“くつろぎ”の場となる上質な空間で気持ちよくゲストをもてなすことのできる「上質な暮らし」という生活提案を盛り込んだ当社基幹商品です。
う~ん、この説明からはxevoEがどんな家なのかをイメージするのは難しいですね。
ダイワハウスの打ち合わせの流れ
私が家を建てた一条工務店では、契約前に設計士が登場することはありません。営業が引いた参考図面をもとに、建築請負契約書を締結、100万円を振り込んだ後に初めて設計士を交えた本格的な打ち合わせがスタートします。
これに対してダイワハウスではまったく正反対のスタイルを取っています。8回ほどの打合せを行いましたが、希望する間取り、住設、見積もりが決まった後に初めて契約するか否かの選択をおこなうスタイルでした。
この間に行ったことは
- 入居者宅訪問
- 設計士と営業が当時住んでいた賃貸を訪問、新居に持っていく予定の家具や洋服の量を調査
- 設計士と営業が建築予定地を訪問し、周囲の状況などを調査
- 業者による敷地調査の実施
- 設計士およびインテリアコーディネータを交えて、間取りの打ち合わせ
- ショールームでキッチン、バスなどの住設を選択
間取りや採用する住設を決めたうえで、見積もりに織り込み、契約を打診されました。
無料の打ち合わせとはいえ、提案された間取りも納得がいくものに仕上がりましたし、議事録もしっかりと残してくれますし、敷地調査の報告書も立派なものを頂きました。
これだけの人、物、金を掛けられるのは流石大手ハウスメーカーといった感じがします。
ダイワハウスxevoEの金額
(出典:xevoE|ダイワハウス)
xevoはダイワハウスの軽量鉄骨(一部木造もあり)の家です。「外張り断熱」でお馴染みかと思いますが、要は鉄骨であるが故に、木に比べて熱を伝えやすいことから、鉄骨部分も外側から断熱材で覆うことで熱橋を和らげているというのが、真相だと思います。
ではxevoEの価格をダイワハウスの見積もりに沿って確認していきましょう。
この見積もりは2014年のものになります。現在では価格は上昇していると思われますので、ご注意下さい。
建物本体価格
建物標準本体工事費
施工面積45.47坪、延床面積42.71坪での建物本体の価格になります。この建物本体工事費には、基礎工事や構造躯体工事、屋根等々の諸々の費用が含まれます。
同じ時期の一条工務店の見積りでは、坪単価は582千円でしたから、坪当たり約4万円ほど高くなっています。しかし一条工務店とは違い、ダイワハウスには値引きがあります。
値引き考慮後の価格は
(特別出精値引き -1,501,000円)
値引き後の坪単価は一条工務店の坪単価と12千円しか変わらなくなっています。
もしかすると競合していた一条工務店を(ダイワハウスの営業マンには一条工務店も検討中であることを伝えてあります)意識した価格設定を行っていたのかもしれませんね。なお見積もり作成に当たって、値引き交渉などは一切していません。
追加変更工事
建物本体価格には、追加変更工事費が記載されています。「コダワリ仕様項目(ワンランク上のコダワリ設備仕様)」と表現された次の項目が計上されています。
追加変更工事費 3,888,000円
- 太陽光発電システム(3.15kw) 1,575,000円(1kwあたり500千円)
- フロアコーティング 45,000円
- 蓄電池・HEMS 2,240,000円
- TVアンテナ(UHFのみ)28,000円
- 太陽光割引 -315,000円
- スマエコ割引 -1,150,000円
太陽光、蓄電池・HEMSは、同時に値引き額が計上されており、これを考慮すると太陽光発電システムは1,260,000円(1kwあたり400千円)、蓄電池・HEMSが1,090,000円となります。
太陽光発電システム
太陽光については、同時期に見積もりした一条工務店が1kwあたり327千円となっています。売電単価が32円(税抜価格)と現在より高い時代とはいえ、当初見積りに計上された1kwあたり500千円はあまりにも高い金額です。
値引前の価格はお得感を演出するための、仮の値段ではないかと勘ぐってしまいそうです。
現在の太陽光割引については同社のHPに詳しく掲載があります。
フロアコーティング
45,000円で計上されているフロアコーティングですが、値段から判断するとワックスの可能性もあります。45坪の床面積のフロアコーティング代としては、30~40万円程掛かるのが相場です。
フロアコーティングをお考えの場合、実績のある業者に依頼する方が間違いありません。
私がお願いしたフロアコーティング業者は森のしずくでした。
ダイワハウスでのコーティングの実績もあります。
建物本体工事価格(その他)
建物本体価格 1,257,000円
- 共通仮設工事費 500,000円
- 建築確認他申請費(長期含)165,000円
- 仮設電力用水費 70,000円
- 設計料・工事管理料 300,000円
- 小運搬費 222,000円
建物本体価格のうち建物標準本体工事費、追加変更工事以外の項目です。
いずれも見積額なので、若干の変動があるかもしれません。内容としては、仮設工事にかかる費用、設計管理料、小運搬費など多義に渡っています。
長期優良住宅
ダイワハウスのxevoは標準で長期優良住宅に対応している家が建ちます。ここでは建築確認申請などと一緒に長期優良住宅の申請費用が計上されているため、内訳は窺い知れません。
費用次第では金銭的メリットが出る場合もありますし、将来住宅を手放す場合にもメリットがあります。
一条工務店で建てた私のケースですが、同じ標準で長期優良住宅の認定を受けられるダイワハウスとも共通点がありますので、参考にしてください。
小運搬費
この中の小運搬費(こうんぱんひ)は2トン車が横付けできないような場合に、人力で廃材などを搬出する際に発生する費用です。
我が家の場合、敷地調査で4トン車が横付け可能とされていましたので、掛からなくなる費用かも知れませんが、予備的に予算に追加してくれたのかもしれません。
建物本体価格の合計
ここまで見てきたの合計が建物本体価格となっています。
建物標準本体工事費 | 28,550,000円 |
特別出精値引き | ▲1,501,000円 |
追加変更工事費 | 3,888,000円 |
共通仮設工事費 | 500,000円 |
建築確認他申請費(長期含) | 165,000円 |
仮設電力用水費 | 70,000円 |
設計料・工事管理料 | 300,000円 |
小運搬費 | 222,000円 |
小計 | 30,729,000円 |
消費税 | 2,458,320円 |
合計 | 33,187,320円 |
消費税も加えると建物本体価格の合計は33,187,320円になっています。坪単価に換算すると約730千円にまで跳ね上がっています。
付帯工事費
付帯工事費用 5,766,120円
- 外構工事(概算) 1,500,000円
- 屋外給排水工事(見積もり) 857,000円
- 解体工事(見積もり) 1,632,000円
- エアコン工事(7台)(概算)720,000円
- インテリアパック(概算) 630,000円
小計 5,339,000円
消費税 427,120円
合計 5,766,120円
建物に関連して掛かる付帯工事費がこの項目にまとめられています。
解体工事の見積内容はこちらの記事で詳細に検討してみました。一条工務店、大和ハウスのそれぞれの提携業者の違いもご覧ください。
外構工事
外構工事費用はあくまで概算金額をダイワハウスが見積もりに織り込んでくれただけで、具体的な打ち合わせを経て決まった金額ではありません。参考金額といってもいいかも知れません。
外構工事に関しては外構の範囲や材料、業者によって金額にかなりの開きが生じます。余裕を持った予算を検討しておく必要がありそうです。
実際の我が家でかかった外構費用はこちらの記事からご覧ください。
解体工事
我が家は建て替えだったので、旧宅の解体費用が別途必要になりました。
旧宅は木造二階建て約30坪でしたが、木造住宅の解体費用の相場である坪3~5万円と比べると、若干割高な気がします。
この金額はダイワハウスの下請業者の正式な見積書に基づく金額となっていますので、ダイワハウスへのマージンが含まれた見積額の可能性もあります。
諸費用お預り金
申請に掛かる諸費用になります。
諸費用お預り金 444,120円
- 登記費用(表示・保存・設定)250,000円
- 印紙代(契約時) 10,000円
- 融資費用 100,000円
- 給水負担金 69,120円
- 給水手続き費用 15,000円
合計 444,120円
融資費用は、ダイワハウスの提携住宅ローンを利用する際に必要になる手数料だと思います。自分で手続きする場合にはかからない費用です。
その他の費用
その他の費用 120,000円
火災保険料(10年分)120,000円
2015年10月からそれまで最長で36年間の契約が可能だった火災保険は、現在最長でも10年まで短縮されました。
この見積り時には36年の火災保険契約が可能な時期だったので、なぜ10年の見積額になっているのかは不明です。
補助金
蓄電池に関して、国と県からの補助金が受けられましたので、その補助金分が減額されて見積もりに計上されています。現在は蓄電池に関する国の補助金制度は終了しています。
- 蓄電池・HEMS(国) ▲874,333円
- 蓄電池・HEMS(県) ▲70,000円
合計 ▲944,333円
見積り総合計
総合計は約4千万円になりました。
解体工事と外構費用を除いた総合計金額で坪単価をはじき出すと、797千円にもなります。
建物標準本体価格の坪単価プラス200千円ほどを見込んでおけば、最低限の住宅を手に入れることが出来るでしょう。
ただし、この見積もりにはオプション工事の計上は行われていませんので、最低ランクの標準品での見積もりとなります。例えば外壁をタイル張りにしたいとか家具の造作をお願いしたいとなるとさらに金額は高くなります。
一条工務店で建てた私の総額も公開していますので、比較検討の際にはご覧ください。
ダイワハウスと契約しなかった理由
残念ながらダイワハウスとは契約に至りませんでした。
人それぞれ、建てる家に何を求めるのかは異なってきます。私の場合は「冬暖かく夏涼しい」という家が欲しいという性能部分を重視した結果、最終的に一条工務店との契約に至りました。
こちらは提案頂いたxevoEのQ値(熱損失係数)です。
私の建築地(Ⅳ地域)で標準で建てられるxevoのQ値は2.7W/㎡・Kになります。私の拘りから断熱性能はⅡ地域(東北地方)並みに高められていますが、それでも1.98W/㎡・Kでした。
Q値1.98W/㎡・Kの住宅が寒いか、寒くないかは人それぞれ感じ方も異なると思います。
このQ値であればⅣ地域で真冬に暖房がない部屋でも15℃程度を維持することは可能です。しかし見積もりの中でエアコン7台が計上されてある通り、各部屋に設置した個別暖房での対応が中心になります。
さらに水廻りと居室の温度差は大きくなるので、高齢者のいるお宅ではヒートショックにも注意を払う必要があります。
一方私の契約した2014年6月当時の一条工務店のHPをみると
Q値は0.82W/㎡・K(現在発売されているi-smartは0.51W/㎡・K)と半分以下なので、冷暖房費もおよそ半分程度で済む計算になります。
またC値(住宅の延べ床面積に対する隙き間の割合)は一条工務店の気密測定で0.6㎠/㎡でしたが、ダイワハウスは公表すらされていませんでした。
この断熱性能・機密性能の差がダイワハウスとの契約をしなかった最大の理由となりました。
断熱性、気密性に少しでも関心がある方なら、家づくりの前に是非次のような本も、一度ご覧になってみることをおススメします。
最後に
ダイワハウスの家については、特徴がないのが特徴といった印象を私は持ちました。一条工務店のような性能面に特化した、いわゆる尖った商品とは対極的な位置に存在する住宅というイメージを持っています。
オリコンが毎年発表している「ハウスメーカー注文住宅満足度ランキング」で、ダイワハウスは47社中第9位にランキングされています。
(引用:ハウスメーカー注文住宅満足度ランキング|オリコン日本顧客満足度ランキング)
概ね平均を超える点数となっていますが、唯一「金額の納得感」の項目だけが平均を下回っています。
やはり先ほどの特徴がないのが特徴と表現した家の割には、大手メーカーであるがゆえに、値段が高くなる点に満足を得られない方もいらっしゃるのではないかと思います。
コメント
こんにちは、つんでれよっし~♪です
(*^ー^)ノ♪
ダイワハウス、そんなに安定企業だったのですね!
思わず株が欲しくなって株主優待調べちゃいました(笑)
f(^_^;
フロアコーティング、
液体硝子の材料費だけならその値段で出来ますが、
やっぱりワックスですかね~?
硝子コーティングもやります!ってサービスすれば
お客様増えそうですけどね。
p(^^)q
つんでれよっし~♪さんこんにちは(^^)
フロアコーティングはこの価格だとワックス、あるいはウレタンコーティングなど水性のコーティングと思われます。
数年でボロボロになりそうなので、何もしない方がマシかもしれませんね。
究極のコーティングは床材メーカーが出荷時点で、フローリングにフロアコーティングしてしまうことになるのですが、
好みがありますし、大量に同一のものを生産出来なくなりますので、コストは上がてしまいそうです。